「まあ、嫌だわぁ！こんなヤンキー女に絡まれるなんて⋯⋯ちょっと、あなた！何とか言って頂戴！」
　女が、夫らしき男に言い、
「ああ」
　男は、スマホ弄りをしており、顔も上げない。
「何でアンタが被害者ヅラしてるわけ！？そもそも、親であるアンタたちがちゃんと子供を見てなかったからいけないんでしょ！」
「何なのよ！さっきから！」
「何なのよ、じゃないでしょ！あんた、私に失礼なこと言った自覚ないの！？」
　私は、決して元ヤンではないのだが、金髪、細眉、目つきも悪いせいか、しばしば間違えられはする。
「はい、はい。お二人とも、ちょっと落ち着きましょう」
　どこから現れたのか、見知らぬ青年が私たちの間に割って入ってきた。
「お母さん。この方は、お子さんを助けてくれた恩人ですよ？その相手には、まずお礼を言うべきですよね」
　すると、
「そうよね、ごめんなさいねぇ」
　女はコロリと態度を変えた。