この1年、心を通わせてきたし、彼女が独身で恋人もいないことは知っている。
 手紙で想いを打ち明けることも考えたが、やはり、直接会って伝えたかった。

 多分、彼女は今日、プロポーズされるだなんて、全く想像もしていないだろう。
 喜んでくれたらいいけれど、それは流石に重いと思われても無理もない。

 しかし、不思議なことに、きっと彼女は受け入れてくれるような気がするのだ。
 不安よりも、早く会いたい気持ちのほうが強い。

 次は終点というアナウンスと共に、早々とデッキに出た。
 ホームに列車が滑り込むと、窓からすぐに彼女の姿を見つけることができた。

 停車し、ドアが開くと、まっすぐに彼女のもとへ駆け寄る。

 僕らの未来は、どんなに暗い時代でも、きっと明るい⋯⋯そう信じながら。


FINE