僕は今、心を弾ませながら、1年前と同じ特急に乗り、依子さんの住む街へ向かっている。

 あの日、彼女は必ずお金を返すと言っていたが、まさか翌日にはもう現金書留が届くとは思わなかった。
 現金書留だけでなく、封筒の中には手紙も同封されていた。

 今の時代だからこそ、却っていいな⋯⋯と思い、僕も返信し、また返信があり、また返信⋯⋯その繰り返しで、僕らは令和の時代に文通で絆を深めてきた。

 出会った日の彼女は、昔気質で面白い女性という印象だったが、ただの勝ち気な人ではないことも知り、どんどん惹かれていった。

 そして今日、1年ぶりに彼女と再会する。
 彼女に渡したいものがあるから。

 以前、彼女は、僕の誕生日にヨリコホソノの小銭入れを贈ってくれた。
 単に、そのお返しというだけの意味ではない。

 突然すぎて、驚かせてしまうだろうか?
 誕生石のサファイアの指環なんて。