「……?」
「メイク、落ちちゃうんだっけ?」
心臓がドクンと波打った。
もうそれはドッキドキ。理由はいっぱいある。
話聞こえていたんですか?仙石先輩も聞き耳立ててたんですか?メイクなんて知ってるんですか?私の涙拭こうとしてくれたんですか?でも直前で思い出したんですか?
一気に聞きたいこと、言いたいことが頭に流れ出してショートしかけて体がふらっと倒れかれる。
でもここで倒れでもしたら、とうとう本当に変な人だ。
グッと全身に力を込める。
色々言いたいけど、全部押し込めて。
「私、メイクしてないです」
だから、とまでは繋げなかった。
まるでねだっているみたいだ。
涙を拭いて欲しいみたいな言葉、それも仙石先輩に言うなんて。
気づいた瞬間、血が沸騰したみたいに顔が真っ赤に染まった。
恥ずかしくて目をキツくつぶった時。
「触るね」
それだけ言うと私の目尻にハンカチが優しく当てられた。そしてゆっくりと頬へ。
「さっき目を擦ったでしょ?
腫れちゃうから目尻だけにしときな」
ゆっくり開けると優しく微笑む仙石先輩。
瞳の色がとても綺麗。
暖かくて優しい印象の素敵な瞳。
素敵な人だな、なんて思った。



