「……ただいま」
今日は一段と疲れちゃった。
それもそうだよね。冬也にあんなこと言ったんだし。
かばんを引きずりながら廊下を抜けて自分の部屋のドアノブに手をかけた時。
「今日は早いね」
なんて言葉が真後ろから聞こえてくる。
そこには姉がいた。
冬也と同じ大学二年生、それに同じ高校出身。
夕飯前だって言うのにアイスを食べていた。
「……冬也と喧嘩したかも」
「あいつと喧嘩する人なんて叶葉だけだよ~」
……だよね。
お分かりの通りというか。
冬也は明るくてみんなに優しい、人たらしなので喧嘩している所なんて見たことも聞いたこともない。
この二年間で初めて喧嘩ぽいことを今日したのだ。
「てか叶葉は冬也なんかと居て大丈夫なの?」
「大丈夫かなんて、そんなに心配する要素ある?」
「ありまくりでしょ。盲目にもほどがある」
……やっぱりそうだよね。



