ここで謎の負けず嫌いが出た。
この冬也は、オオカミ冬也。いつもの優しい冬也じゃない。冬也は色んな自分を自由自在に操る、こうやって。
冬也の手のひらでコロコロ転がされるなんてごめんよ!こっちだって強気で……!
ニヤリと嫌に口角が上がる、
嫌な予感しかしません。
「……」
私の答えに無言でいる。
ここは無言もよく響くみたいで、風の音ひとつ聞こえてこない。
じっと答えを待つ私。
ただ私を見つめる冬也。
「とうっ…」
や、って。そんな私の呼ぶ彼の名前は不自然に引きつった。
「…じゃあ……キスしよ、か?」
───キスって、“じゃあ”でするものなんですか?
禁煙の条件になるようなものでしたっけ?私にはまだ経験値が無さ過ぎて分からない。
ゆっくり私の手が解放されて、そのまま流れるように頬に触れて、顔が近づいてくる。
視界の中で、冬也の顔が大きくなってくる。綺麗すぎる顔が近づいてきて、ほんの数センチ。



