カツッ、ローファーの音が人気のない路地裏に響き渡る。近距離の冬也が艶っぽい顔で、私を見る。
「叶葉の考えはわかったよ」
「……」
「俺は叶葉と会えないと辛くて死んじゃう、
だから、条件付きで禁煙はどう?」
「……は!?」
きんえん。
あの冬也の口から禁煙なんて言葉が出てきた。
さっきまでの息が詰まりそうな圧はすっかりと消えている。
「じょ、条件??」
「そう、条件。
どう?」
へらっと言ってのけた冬也が信じられない。だってあのタバコが無いと生きていけません、みたいな顔してた冬也はどこ行ったの?
タバコよりも私といたいってこと?そう解釈してもいいの?
目の前にはふざけた様子もない至って真面目な冬也。
余裕そうに、私を試すように、さらっと抵抗なくそんなことを言う。
「……うん、いいよ。
条件ってなに?」



