私と冬也は二人で駅を目指して歩く。
「飲まないの?」
コーヒーを飲んでいる冬也が不思議そうに首を傾けてそう尋ねてきた。
私の手にはまだ空けられていない缶コーヒーがある。
「なんか勿体ない気になるよね。
せっかく冬也が奢ってくれたコーヒーだから宝物にしないと」
「そんなの何時でも買ってあげるのに」
「それじゃあ特別感がないじゃん!」
たしかに、なんて笑いながらまた一口飲む。
そんな横顔を見ている時、私は思い出したのだ。
─────禁煙の条件を聞けていないことに。
「うわ!危ないとこだった!!」
ここで片手に缶コーヒーが握られていることも忘れて思いっきり手を振り下ろす。
ほんと開けてなくてよかった。
「えなに?忘れ物?」
相変わらずの独特な上がる語尾でそう言い、半笑いで見つめてくる冬也。
そんな冬也を一生懸命早歩きして追い抜き、立ち塞がったら動きを止めた。



