「誰と喧嘩したんですか?」
「……はて?」
咄嗟に、口から出かかった”冬也”という言葉を飲み込む。
「……あっそ」
神崎くんは無表情でプイっと窓に目をやると荷物を持ったら立ち上がる。
あの神崎くんが親身になってくれたかと思ったら、やっぱり興味ないよね。
そりゃーこんな女の悩みなんて聞きたくないよ。
「時間取らせてごめんね。
頑張って仲直りするよ!!」
神崎くんの冷たい眼差しに見守られて
図書室を出た。
私から吹っ掛けた喧嘩なのに
振り回されているのは結局自分自身。
こんなことになるなら言わなければよかったかも。
いつも通り下駄箱でローファーに履き替える。
歩きながら、学校にいるはずのない背の高い金髪を探してみちゃったり。
…
もちろんいるはずなく、学校から出た。
「……あ、いた」
突然、すぐ近くで男の子の声がした。
「!?」
パッと顔を向けると、冬也。
「え!?」



