これまた一生懸命計算し始めた神崎くんを横目で見ながら考えてみた。
状況から見て神崎柊は八尋叶葉を好きだと考えるのが順当だと思っていた、が。
かれこれ2時間以上彼の隣に座っているのに少しも叶葉に視線を向ける姿を見ない。意識しているかのように。
それに神崎、か。
わざわざ聞かなくてもいいけどどうしても気になってしまったから神崎くんが顔を上げたタイミングで尋ねてみた。
「違ったらいいんだけどさ、神崎くんのお母さんって検事だったりする?」
「え、はい。そうです」
やっぱりか。どうりで見たことあるわけだ。
「俺の……親戚が裁判官なんだよね。もしかしたら近いところで行動していて、会ったことあるかも」
「なんか恥ずかしいですね、バレてるの」
あ、恥ずかしがってるんだ。無表情だけど。
ちらりと見たやり直した計算の答えは合っていた。
この勉強の様子だと相当賢そうだし、テストの順位も一桁台が安定だろう。



