殺される
冬也は王子様だ。
でもオオカミ王子様。忘れていた。
弱肉強食の世界じゃただのハムスターの私が勝てるわけないし、勝とうなんておこがましいこのすら考えられない。
「叶葉は?」
呆然と立ち尽くしている私の名前を冬也が言った。
胸が苦しくて声が出せない私を、試すような目でまっすぐ見ている。
「あいつのことが好きなの?」
あいつ、それはきっと神崎くん。
違う。私が好きなのは冬也。
そう言いたいけどこれまでの行動ではまるで説得力がない。
「……私が好きなのは冬也だよ」
本当に小さな声が出た。
信じてもられなくてもいいよ。それぐらい酷いことをしたから。
手に持つかばんの取っ手をぎゅっと強く握った。



