𖤐 ̖́-
冬也が高校生だった時。
つやつやに輝く綺麗な黒髪にスラっと伸びた長身。
芸能人顔負けの美しい顔。
仙谷冬也のことなんて知らない人はいないぐらいの人気を誇っていて、まさに高嶺の花だった。
おまけに明るい性格に勉強までできちゃう。
こんな完璧王子様のことは学校中の女の子が目に留めていたに違いない。
──そんな人と付き合っている。
「八尋先輩、仙谷さんのいとこって本当ですか?」
「んん??」
一般ピーポーの私が付き合っているなんて誰も信じてくれるわけない。
冬也が卒業して早1 年。
1年もしたら色んな噂が根を張りだして、ついには私は冬也といとこになった。
あの頃の人気だった冬也は今も健在で。
特に姿を見たことない1,2年生の間ではありもしない噂が回りに回っている。
「いとこ、ではないね」
「いとこじゃないんだぁー」
なんだ、なんてがっかりした様子で本を並べる手を進めていくのが後輩の神崎くん。
誰がいとこなんて噂流したんだろう。
せめて彼女でしょ……。



