毎日毎日、放課後に行くマンションで
私の素晴らしいくつろぎタイムは
”あるもの”に邪魔される。
「……」
もう今日こそ言ってやる。
全ては彼のためだもん。
───バンッ、と雑に扉を開けると
中にいた”あるもの”の発生源である男の肩がビクリと大げさに跳ね上がった。
「ビッ、、っくりしたぁ…」
お化けでも見るみたいに私を見てくる
金色の髪を開いた窓から吹いてくる風に靡かせて椅子ごとこちらを見たチャラ男。
私の彼氏こと
仙谷冬也(せんごく とうや)。
そのお綺麗な細長い指には、
いつもながら煙を立てているタバコが挟まっている。
「ごめんごめん。来てたんだね。
ただいま叶葉(かのは)」
そう言って椅子から立ち上がり、私の頭を一撫でした冬也は
どうやら私の不機嫌な様子を
『お迎えがなかったから怒っている』と解釈したらしい。



