小さな恋の物語【短編集】

 けど、わたしだって何度も聞きたかった。

「わたしたちの関係ってなに?」って。


「恋人くらい作らないの?」って、冗談めかして駿介に聞きたいって思ったこともあった。

 けど、言えなかった。


 どんな言葉が返ってくるか、考えただけで怖かったから。


 だってわたしは、駿介にずっと片想いしているんだから。


 そのことに気付いたのは、いつだろう?

 保育園のとき?

 それとも小学校に入ってからだっけ?


 だから、付き合ってはいなくても、いつも駿介がそばにいてくれる今の関係が、わたしには十分幸せだった。

 このまま友だち同士なら、終わりのない関係でいられる。

 けど、一度恋人同士になってしまったら……。

 その終わりが来たときのことを考えると、怖くて今の関係を自分から崩す気には到底なれなかった。


 とはいえ、大学を卒業して4年半を過ぎ、周囲が結婚しはじめると、このままでいいの? っていう思いが湧きあがってくる。

 恋人でもない、ただの幼馴染と、このままの関係でいいのか……って。


 そんなモヤモヤした気持ちを抱えたある日、駿介からメッセージが届いた。


『今度のクリスマス、大事な話がある』


 そのメッセージを見た瞬間、ドクンッと心臓が飛び跳ねる。


 大事な話って……。

 わたしたちの関係が、ついに変わるってこと……?


「遅いよっ」

 わたしは、ぎゅっとスマホを胸に抱きしめた。