小さな恋の物語【短編集】


 駿介(しゅんすけ)とは、保育園に通っていたときからの仲。

 あれから20年以上続いているのだから、もはや腐れ縁と言ってもいいかもしれない。

 入園早々母親同士が仲良くなったのがきっかけで、お互いの誕生日もクリスマスも一緒にお祝いするようになり、大学生くらいからは、わたしと駿介の二人きりでお祝いするようになった。


 ――恋人でもないのに。


 そう、恋人でもないのに、二人きりで。


「そんなムダな時間過ごしてないで、彼氏くらい作りなよ」

 大学の友だちにも、散々呆れられたほどだ。


 わたしだって、そう思う。

 実際、毎年そう思ってた。


 駿介からは、甘い言葉など一度も言われたことはない。

 もちろん、「付き合おう」とか「好きだ」とか、そういう告白を受けたこともない。

 なのに、なんで誕生日もクリスマスも、いつも駿介と一緒なんだろう?

 そう疑問に思ったことも、一度や二度ではない。


 けど、一人で、もしくは家族と過ごすには寂しいお年頃になってからは、駿介からの「今年はどこ行く?」がありがたくもあった。

 けど、駿介は恋人じゃない。


「おまえら、ホントは付き合ってんだろ」

 小学生の頃から、ずっと一緒に登下校していたわたしたちに何度となくかけられてきたそんな言葉も、「はい、はい」って駿介は軽く受け流すだけ。

 きっと、『何バカなこと言ってんだよ。美空(みく)はそんなんじゃねえっつーの』って心の中で思っていたに違いない。