小さな恋の物語【短編集】

 ……わかってる。こうなったのは自業自得だってことくらい。


拓海(たくみ)くん。あのね、あたし、拓海くんのことが好きで……その……もしよかったら、あたしとお付き合いしてください!」


 高校に入学したて、サッカー部に入りたての頃、俺は柚月に告白された。

 初めて見たときから「かわいいな」とは思っていたけど、まだよく知らなかったし、純粋にサッカーを頑張りたいってそんときは思ってたし……つまり、そんなわけで柚月の告白は失敗に終わった。


 他人事みたいに言うなって?

 あーもう、わかったよ。

 そうだよ、振ったんだよ。この俺が。


 後悔してるのかって?

 めっちゃしてるよ! 見りゃわかるだろ。


 俺にフラれてからも、柚月はマネの仕事をすげー頑張ってて。

 もう、マネ一筋って感じで頑張ってて。

 いつの間にか、そんな柚月に俺は惹かれていった。


 けど、当の柚月は恋なんてもういいやって……そう思ってるんだと思ってた。

 だったら、頑張る柚月のそばにいられるだけで、今はそれでいいやって思ってた。


 けど、実際は違ってたんだ。


 なんでもっと早く自分の気持ちを伝えなかったんだろう。

 自分のことを殴り倒してやりたいよ。

 そばにいるだけでいいなんて、そんな都合のいいことがずっと続くだなんて、なんで思い込んでいたんだ、俺は。


 ギリっと奥歯を噛みしめると、俺は口を開いた。


「わかったよ。うまくいくかわかんねえけど、期待して待っとけ」

『本当⁉ ありがとう。やっぱ持つべきものは友だちだね!』

「あー……おう。任せとけ」


 チクリと胸が痛むのは気付かないフリ。

 今の俺にできることは、好きな人の——柚月の幸せを願うことだけだ。