小さな恋の物語【短編集】

「だからっ……日菜のほしいもんが知りたいんだって。どうせやるなら、喜んでもらえるもん贈りたいし」

「だから、あたしのほしいものじゃ意味が——」

「あーもう、いいかげんわかれよ。俺は(・・)日菜に(・・・)あげたいの(・・・・・)

 律が、一言一言区切って強調して言う。


「日菜にって……あ、あたし!? あたしにくれるってこと?」


 今まで一度ももらったことなんてないのに。

 クリスマスも、誕生日も。

 まあ、それを言ったらあたしもあげたことないからお互い様なんだけど。


「い、いいよ、別に。ムリしないで。ごめんね、律のウインドウショッピング、バカにして」

 あたしがそう言うと、はぁーという大きなため息とともに、

「そうだよな。ちゃんと言わねえと通じないヤツだったわ」

 とつぶやく声が聞こえてくる。


「だからさ。クリスマス(・・・・・)俺と(・・)デートして(・・・・・)。ってこと」

「はあ⁉」


 バッと振り返ると、緊張した面持ちでほっぺたを真っ赤に染めた律が立っていた。


「……イヤならいいけど」「行く!」


 ぎゅっと両方の拳を握り締めて律の言葉に被せるようにして言うと、ホッとしたように律が小さく笑った。


「あ、あたしもね、本当は……律へのプレゼント、探してた」

「は⁉ ……へぇ~、ふうん、そっか、そっか」

 律がうれしそうに口元を綻ばせる。


「だからね、律に、一緒に選んでほしい」

「うん。わかった」


 保育園ぶりにつないだ律の手は、わたしよりずっとずっと大きくて、野球をずっとずっとがんばってきた手だった。