小さな恋の物語【短編集】


日菜(ひな)? こんなとこでなにやってんの?」


 すぐうしろで聞き慣れた声がして、ドキンッと心臓が飛び跳ねる。


「な、なにって……ウインドウショッピング?」

 スノードームの飾られた棚に伸ばした手をそろそろと手を引っ込めながら振り返り、ぎこちなく笑ってみせる。


 家から自転車で20分くらいのとこにあるこのショッピングモールの装飾はすでにクリスマス一色で、店内にはクリスマスソングが絶えず流れている。


「そういう(りつ)こそ、こんなとこで何やってんの?」

「お、俺!? 俺……も、あれだよ。ウインドウショッピング」

 そう言いながら、律がすっと目を逸らす。


「ふぅん。珍しいね。暇さえあれば家の前でバット振ってる律が、暇つぶしのウインドウショッピングだなんて」

「ダメなのかよ、俺がウインドウショッピングに来ちゃ」

「べっつにー? 誰かのクリスマスプレゼントでも買いに来たのかと思っただけ。あーそっか、そっか。そんなものをあげるような人、いなかったっけ」

「っ……うるさいよ。そういう日菜はどうなんだよ。贈る相手がいないからって、ウインドウショッピング? 寂しい週末だなあ」

「はあ⁉ そっくりそのままお返ししますぅー」


 売り言葉に買い言葉。

 こんな自分がいいかげんイヤになる。

 せっかく、プレゼントを渡して素直な気持ちを伝えようと思っていたのに。


 ――片想い歴15年超の幼馴染に。