独身最後の夜に

「もしかして、私たちのこと、恋愛関係だと思ってた!?」
「うん⋯⋯ごめん!」
 私は、思わず笑ってしまった。
「俺は男だからわからないけど、女同士の友情はうわべだけだってよく聞くから」
「まぁね。でも、私たちの友情は、きっと一生モノだよ」

 松岡くんは、よく私の愚痴や悩みなどを聞いてくれて、いつも的確なアドバイスをくれた。
 同い年の男子なんて子供だと思っていたのに、彼は他の子とは違うと感じ、彼と話すことが、とても楽しくなっていった。

 日暮れが早い季節になると、彼は遠回りして私のことを自宅まで送ってくれるようになった。
 委員会最後の帰り道で、
「4月からも、一緒に帰れる?」
 妙にかたい声で言われ、
「毎日じゃなければ大丈夫。帰りは、部活の子たちと一緒のことが多いから」
 松岡くんは苦笑いで、
「千鶴って、実はかなり鈍いね」
「確かに、気は利かないけど、そこまで酷い⋯⋯?」