独身最後の夜に

「夏は最悪だったけど、今の季節の土いじりは悪くないな」
　１０月の、寒くも暑くもない季節になり、松岡くんはそう言って笑った。
「ところで、千鶴って幸田さんと仲がいいよね」
　幸田さんとは、登茂子のこと。
　唐突に松岡くんが言い出し、これはまさか⋯⋯と思いながら、
「うん。どうしたの？急に」
「こんなこと聞いていいのかわからないけど⋯⋯」
「何？」
「二人は⋯⋯友達以上だったりする？」
　謎の質問に、ポカンとしてしまった。
「だ、だってさ、同じクラスのグループでは、傍目にもしょっちゅう仲間割れしてるのに、幸田さんとは手繋いで歩いたりしてるぐらいだし⋯⋯」
「そうねぇ⋯⋯本音を言えば、同じクラスの子は親友と思えないけど、登茂子のことは親友だと思ってるよ」
「親友？」
「うん」
「そっか。そうだよな。ごめん、下世話な質問して」
　申し訳なさそうに言われ、おもむろに、彼の質問の意図を理解した。