独身最後の夜に

 ローティーンの恋なんて、実に現金なもの。性格など知らなくても好きになってしまう。
「あ!それで、今年になってから、放課後になるとうちのクラスに来るようになったとか?」
「バレたかぁ⋯⋯」
 登茂子とは、中学に入ってからは同じクラスになったことがない。
 私が同じクラスで一緒に行動している友達は、奇数のせいかしょっちゅう仲間割れしてばかり。
 偶数にする為、クラスで孤立している子を招き入れたら、ますます厄介なことになったのに対して、登茂子とはこれまでに一度も喧嘩をしたことがなかった。
 中身のない会話ばかりとはいえ、一緒に居ると楽しくて、いつも笑ってばかり。
 親友は誰かと問われたら、迷わず登茂子だと答え、それは彼女も同じだった。

 登茂子の恋心を知ってから、私は、松岡くんの性格を知ろうとした。
 何しろ、登茂子は彼の性格を知らないというから、さりげなくリサーチするつもりだったのだ。