人もまばらになった教室で、
「じゃあ、行こうか」
 松岡くんが言い、私たちは花壇まで向かった。

 黙々と作業をしながら、
「衣さんは、どうして園芸委員に?」
 松岡くんが尋ねてきた。
 有り体に言うと、学校の花壇の花をちゃんと見ている生徒など殆ど居ない。
 1年生の頃は様子見で委員会に入らず、2年生になって、内申点稼ぎに放送委員をやりたいと思ったが、人気があったので、くじ引きで外れてしまい、仕方なく⋯⋯という本音を言うと、
「あはは!正直だな!俺も人のことは言えないけど」
「でも、風紀委員よりはいいと思わない?頭髪服装検査なんて、みんなの嫌われ役だもの」
「確かに。頭髪検査といえば、その髪の色って生まれつき?」
 複数の国の血が混ざった私は、当時、金髪に近い色をしていた。
「うん。この髪のせいか、去年の3年には部活内でかなり睨まれてたんだよね。今の3年とは円満だけど」