独身最後の夜に

 松岡くんにも、告白された時に、そう言われたのを思い出した。
 常に自分のことしか考えておらず、人の気持ちなんて何もわかっていない私⋯⋯。
 それでも、松岡くんは私に愛想を尽かすことなく付き合い続けてくれたが、登茂子には完全に嫌われてしまった。
 友情と恋は違えど、私は、やはり登茂子のことが本当に大好きで、彼女に嫌われて友情が毀れてしまうのは耐え難かった。
 だから、何通も謝罪の手紙を書いては、自宅の郵便受けに入れたが、一度も返信はなかった。

 いつか、もう少し大人になれば⋯⋯私たち、雪解けの時が来るのだろうか?
 登茂子だって、新しい誰かと出会って恋に落ちる日が来るはず。

 しつこく謝り続けて、ますます登茂子を不愉快にさせてしまうなら、私は唯一無二の親友を裏切った罪を抱えたまま、大人になろうと心に決めた。
 許されなくても仕方ないが、どうか、いつか許して⋯⋯と、身勝手に願いながら。