それからしばらく、慌ただしい日々だったが、意外とあっという間に卒業式を迎えた。
松岡くんは、こっそり私に第二ボタンをくれた。
登茂子と、部活の後輩らと一緒に写真も撮り、私の恋は誰にも知られることなく、完璧な卒業式。
⋯⋯そう思っていた。
高校生になると、学校が反対方向ということもあり、登茂子とは顔を合わせる機会が減ってしまった。
気になったのは、電話をかけても出てくれないのだ。
家がすぐ近くなので、直接、会いに行ってみた。
すると、登茂子は、
「何の用?」
今までに聞いたこともない、氷のように冷たい声を放った。
「え⋯⋯何って」
「もう、ハッキリ言うわ。千鶴、去年の9月、S浜に行ったよね?」
それは、松岡くんとの中学最後のデートのことだった。
「ああ⋯⋯行った、かな?」
「やっぱり、私の見間違いじゃなかったんだ。松岡くんと二人きりで、随分親密そうだったね」
松岡くんは、こっそり私に第二ボタンをくれた。
登茂子と、部活の後輩らと一緒に写真も撮り、私の恋は誰にも知られることなく、完璧な卒業式。
⋯⋯そう思っていた。
高校生になると、学校が反対方向ということもあり、登茂子とは顔を合わせる機会が減ってしまった。
気になったのは、電話をかけても出てくれないのだ。
家がすぐ近くなので、直接、会いに行ってみた。
すると、登茂子は、
「何の用?」
今までに聞いたこともない、氷のように冷たい声を放った。
「え⋯⋯何って」
「もう、ハッキリ言うわ。千鶴、去年の9月、S浜に行ったよね?」
それは、松岡くんとの中学最後のデートのことだった。
「ああ⋯⋯行った、かな?」
「やっぱり、私の見間違いじゃなかったんだ。松岡くんと二人きりで、随分親密そうだったね」



