彼は呑気に笑って言うが、
「私、さっき言い損ねたことがあるの」
「え?やっぱりダメ、とか⋯⋯?」
急に沈んだ声になった。
本当は、
「そうなの。ごめんね」
と言うべきだったのかもしれない。
しかし、
「お願いがあって。私たちのこと、誰にも話さないで欲しいの。仲のいい友達にも、絶対に」
気付けば、そんなことを口走っていた。
「それは構わないけど⋯⋯なんで?」
「え?それは⋯⋯受験生だしね。うちの学校って、やたら男女交際禁止ってうるさいでしょ?お互い、内申に響くと困るじゃない?」
教師らが、男女交際禁止とうるさいのは事実だが、それは本当の理由ではなかった。他のカップルも、学校に禁止されたからという理由で別れたという話など聞いたことがない。
「いいよ。千鶴がそう望むなら、卒業まで隠し通すから」
「ありがとう⋯⋯」
私は、なんとも言えない複雑な気持ちで電話を切った。
「私、さっき言い損ねたことがあるの」
「え?やっぱりダメ、とか⋯⋯?」
急に沈んだ声になった。
本当は、
「そうなの。ごめんね」
と言うべきだったのかもしれない。
しかし、
「お願いがあって。私たちのこと、誰にも話さないで欲しいの。仲のいい友達にも、絶対に」
気付けば、そんなことを口走っていた。
「それは構わないけど⋯⋯なんで?」
「え?それは⋯⋯受験生だしね。うちの学校って、やたら男女交際禁止ってうるさいでしょ?お互い、内申に響くと困るじゃない?」
教師らが、男女交際禁止とうるさいのは事実だが、それは本当の理由ではなかった。他のカップルも、学校に禁止されたからという理由で別れたという話など聞いたことがない。
「いいよ。千鶴がそう望むなら、卒業まで隠し通すから」
「ありがとう⋯⋯」
私は、なんとも言えない複雑な気持ちで電話を切った。



