「藤崎翠咲です。瞳の色が翡翠色だから、名前に翠が入ってます」
中2の初め。隣の席でそう自己紹介する女の子。

その瞳に吸い寄せられるように、僕は初めて恋というものを知った。

それからの日々は、翠咲の気を引くことに必死だった。


僕の存在を、知ってもらうために。


席替えする前に、少しでも距離を縮めたくて、


接するうちに、どんどん惹かれていった。



一目ぼれなんて、信じていなかったのに。