教室に入った時、なんとなく、なつかしいと感じた。 「藤崎さんじゃん…」 「記憶なくなったんでしょ」 「らしいよね、山川君のことも覚えてないんでしょ」 「だってよ。あの結衣ちゃんのことは覚えてるらしいけど」 地獄耳。 ねぇ、お母さん。 こんなに聞こえる耳に産んではほしくなかったな。