隣の年下くんがダンジョンの同居人につき、リアルでも溺愛始まりました

 このレストランにあるプールのように淡いブルーのカクテルを一気に飲み干すと、さすがの峯岸も慌てた。

「ああっ。そんな飲み方したら、危ないですよ。
 でもきっと……お辛いことが、あったんですよね」

 峯岸は何かを察したように静かに頷く。
 峯岸さん。あなたの大事な時間を、くだらない私ごとで無駄にさせてしまって、ほんと、ごめんなさい。心の中で勇者峯岸何某へと、謝罪を告げた後、口を開いた。

 
「……友人と喧嘩してしまって」

 ついぽろりと溢した言葉は、あれよあれよと言葉を紡ぎ始める。降り始めた雨のようにゆっくりと土を湿らせ、徐々に水のヴェールで世界を覆い始める。

 あれからムギちゃんは、ゲームに三日もログインしていない。今まで1日たりともログインしない日はなかったのにだ。
 きっともうログインしないかもしれない。

「後悔したところで、もう遅いんですけどね」

 と、皮肉めいた発言をしてしまう。同居人を失いたくなかったのに、そのために立ち回ってたはずなのに、どうしてあんなこと言っちゃったんだろう。
 もっと五百城のことを考えてから発言していたら、彼の言葉を信じていたら、こんな結果にはならなかったのに……。

「遅くないと思いますよ」

と、峯岸は言った。

「これは自論ですが、生きている間は何度だってやり直せるんです。喧嘩したのなら謝ればいい。許してもらえるまで何度でも謝ればいいんです。
 仲直りは、生きてるうちしかできませんから」

 にっこりと峯岸は笑う。