隣の年下くんがダンジョンの同居人につき、リアルでも溺愛始まりました

 と、水の入ったコップだけを受け取った。ごくごくと喉を鳴らして飲み干すと「じゃあ、今夜のイベントの準備しますか」と、満面の笑みを浮かべた。
 
「え、大丈夫? お腹とか、痛くない?」

 と心配してみたが、五百城は親指をグッと天井に持ち上げる。

「全然元気です。健康そのものですんで!」

 じゃあ、さっきのはなんだったんだろう……。

「まさか……演技?」

「さあ! 今日は絶対ランクインしますよ! バフ飯なににしようかな!」

 いつになくテンション上げて、鼻歌なんか歌って誤魔化している。
 やはり、この子、使ってはいけないところに賢い頭脳を使っている。

「でもさあ、どんな理由にせよ、元カノの手料理をあんなふうに扱うのはどうかと思うよ」

 結愛制作チョコプリンを一人で完食してしまった私が吐くセリフではないとは思いつつも、五百城の行動を咎めた。大好きな人のためにせっかく作った手料理を吐かれたとなれば、わりとトラウマ案件だ。
 五百城は狙撃でエリアを走り回るプレイヤーをキルしつつ応えた。

「僕、彼女いたことありません」

「は? ひっど!」

 こっちもキル数を重ねているので、キーボードから手を離せるわけもなく肘で五百城の脇腹を小突いた。

「酷いって、なにがですか」

 今度は五百城がわたしの脇腹に肘を入れてきた。
 うっ……、地味に痛い。

「元カノじゃないなら、彼女は何者なの?」