隣の年下くんがダンジョンの同居人につき、リアルでも溺愛始まりました

 「そこの二人! いちゃいちゃしない!」

 大鍋を手に彼女はこちらへとズンズン近づいてきた。そのまま湯気を上げる鍋を私たちへとぶっかけるのかと思いきや、ローテーブルの上にドンと勢いよく置く。

「できました!」

 美少女は誇らしげに小ぶりな胸を張る。しかし夕食が詰まっているはずの鍋から漂うのは、なぜか甘いチョコレートの香り。一体、何が入っているのだ。

 しかし、長時間かけた超大作だ。きっと素晴らしいものが出てくるはず。と、蓋をあけると、湯気の中から真っ黒な茶碗蒸しのようなものが出てきた。

 「土鍋チョコプリンです! 
 ムギくんの分、取り分けてあげるー!」

 まるで新妻のような動きで取り皿を並べているが、鍋から取り出される黒い塊はスイーツの部類に入るやつだ。

「晩御飯を……作るのでは?」

「スイーツが夕飯になったらダメな法律でもあるんですか?」

 半ギレ気味に突っかかった。
 そんな法律はないけれど、我が家の貴重なタンパク源(卵)と、棚の奥に隠してあったはずの特別な日用のオーガニックチョコが使用された事実は、なんとか法律で罰してほしい。

「あのチョコ、食べるの楽しみにしてたのに……」

 なんて嘆いてもキッチンを開け渡したのは私だ。
 パンがないならお菓子があるじゃない♪ 理論を持ち出す美少女を追い詰めれば、こちらの首が斬られかねないだろう。

 溶けて全く別のものへ変わったチョコたちに身悶えていると、