隣の年下くんがダンジョンの同居人でした。

 なんと! 宝刀が私の助っ人をすることを拒んだ!
 スマホを真剣な様子で見つめる五百城は、目の前のバトルには興味ないみたいだ。
 “そもそも私の問題じゃなくて、あんたの問題でしょうが!”

 そう心の中で呪いの言葉を送ったけれど、彼の視界から完全にシャットアウトされているらしい。

「へー。……おばさん。無視されてますね」

 美少女が勝ち誇ったようにいう。

「おばさん、っていうのやめてくれる?
 私には白枝燕って、立派な名前があるの」

「白枝燕。でもさっき麦くん、烈火って」

「あ、えーと愛称っていうか? 恋人同士の呼び名みたいなやつ?」

「なにそれ意味不明ー」と彼女が鼻で笑う。
 “ちょっと! 押され気味なんですけど!
 このままじゃキルされそうなんですけど!!
 さっさとスマホから顔上げてヘルプしなさいよ!!“

「私は、鵲 結愛(かささぎ ゆあ)です。知ってますか。
 鵲って、すごく賢い鳥なんです。燕と違って、自分を客観的にみられるんで。
 燕さんみたいな、貢ぐとかしないんで!」

「今度は名前マウントなんだ。
 なら、燕は幸運の象徴で縁起がいい鳥なので」

「幸運の象徴は、”燕の巣”ですけど。
 年いってるくせに、そんなことも知らないんですか」

 我慢できずに、五百城の腕をぐっと掴んだ。

「もうやだ! この子の相手つらすぎ! 帰りたいんですけど!」