隣の年下くんがダンジョンの同居人につき、リアルでも溺愛始まりました

 「だって! この人のはずない! 彼女とか絶対、嘘!!」

 真っ直ぐに私を睨みつける。
 結愛が、そこまではっきりと言い切るにはそれなりの自信があるのだ。
 五百城と一緒にいた時間が長いからか、
 それとも彼女はまだ五百城に愛されていると信じているのか。
 まあ……“鵲さんそっくりのアバター使ってる男子。だもんなあ……”

 彼女のことをどう思っているのか、五百城ののらりくらりとした態度からもその横顔からも、本心は見えないけども、アバターが全てを物語っている気もする。

 なんて悶々としていたら、気づくと私の家に、美少女と五百城がいる謎の状況が生まれていた。

「鵲さんは、コーヒー苦手だからココアお願いします」

 五百城はしれっと元カノの飲み物のオーダーを今カノ設定の私にしている。
 私の部屋の中のあちこちを物色するように徘徊する結愛は、居座る気が満々のようだ。カサカサとG――いや、小動物のように動き回る姿は見た目は、ムギちゃんであるため、許容できる。

 一応言っておくが、私の設定、”今カノ”である。

「自分の飲み物ぐらい、自分で入れますんで! お気になさらず!」

 キッチンへとやってくるなり、棚を物色し出した。
 発見されたココアの入った大缶をパカッと開ける。
 途端にココアの茶色い粉が舞い、甘い香りがキッチンに漂っている。

「いや、そういうことじゃなくて。
 帰って欲しいって言ったんですが?」

 そんな私の威圧に全く動じずに、マグカップにサラサラとココアの粉を入れている。結愛の形のいい唇がつんと尖り、アヒルのようになる。