隣の年下くんがダンジョンの同居人につき、リアルでも溺愛始まりました

 ガシャンっと嫌な音が部屋の中に響いた。危険な音が響き、強張った顔を互いに見合わせた。
 もう答えがわかったようなものだが、私へと薄氷を叩いたようにヒビだらけな画面を見せつけた。
 
 「かろうじて映る……けど、返信はできなそうです」

 割れたスマホの液晶を指先でなぞりながら呟いた。肩のショゲ加減から見るに、だいぶダメージを受けているようだ。私のせいじゃない。五百城があんなことするから。と、文句を言いたいところだけれど、流石に五百城より年上なのにそんなカッコ悪いことは言えない。

 「私が画面交換しに行ってこようか。
 ちょうど、有給取ってたし、買い物する予定だったから」

 「え、いいんですか!!」

 「あ、でも、金欠だから、ガラス代は分割にしてくれるといいんだけど……」

 今月の出費にスマホのガラス代が乗っかるとなると、給料日まで生存できるかが心配だ。
 五百城は逃げるようにカバンやデバイスを引っ掴み玄関へと走っていった。
 
 スマホのガラス交換が終わるタイミングを見計らったかのように、五百城のスマホが振動した。昨夜体験した恐怖のメッセージかと思ったが、着信に出ると五百城のボソボソッとした喋りが戻ってきて安堵する。