隣の年下くんがダンジョンの同居人につき、リアルでも溺愛始まりました

 その間をすり抜けて、洗面所へと向かう。洗面所の前でため息を吐く。
 
 昨夜は、五百城を意識してしまったというより、五百城のスマホが怖すぎて眠れなかった。
 だって……、あんなメッセージ恐すぎ……。

「あ、そういえば、スマホどこに行ったかな?」

 五百城のパタパタと廊下を歩く音が聞こえてきた。

「あぁああ! スマホはやめた方が!!」

 言いかけたところで、すでに五百城はスマホを手にしている。 
 スマホの液晶を覗き込む五百城を見て、背筋がさっと冷たくなった。
 ”それを開けたら呪いの源が溢れ出てしまうー!”とばかりに彼目掛けて突進した。

 スマホを奪い取ろうとした途端、ヒョイっと五百城が腕を引っ込めたせいで、私は前のめりにつんのめってしまった。

 そのまま2人揃って床へと倒れ込んだ。バフンと床にあった大きなクッションが空気を吐き出す。気づくと私の目の前には五百城の胸板があった。
 細いくせに引き締まっている。筋肉質なのは何のスポーツをしているのだろう。硬い胸板に抱かれてしまい、無駄に胸が高鳴ってしまう。


 不満げな声を五百城が漏らす。

「あ、いやあの。スマホが……」

 言いながら危険な胸元から体を引き剥がすように上体を持ち上げる。
 けれど、なぜか五百城の腕が伸びてきて、私をそのまま抱きしめた。