私を背後から抱きしめている。
「……ハグですよね?」と、眠たげに五百城がつぶやいた。
「ハグ……だけども。
それはムギちゃんとで……」
”リアルのハグじゃない!”
「また間違えた。ムギ……くん。です」
甘えた様子で彼は囁いた。耳元にあたる吐息が熱い。五百城の体温は私よりもずっと高くて、まるで子供みたいだ。けれども、彼はもう20歳そこそこで、きっと恋だって経験している青年。
このまま、何かが始まってもおかしくないほどに、ずっと抱きしめられてしまい、私の心臓の音は緊張と期待とで高鳴っている。
いや何か始まったらダメ。ゲームの同居人と恋愛は禁忌である。
……だ……あれ。
いつまで経っても次の行動に移らない五百城に痺れを切らして、声を掛ける。
「あ、あの……、ムギくん?」
身体を彼へと向けた途端、ごとんっと何かが倒れる音がした。
「何事?」
慌てて振り返ると、床に倒れ込むように眠っている五百城がいる。すでにスースーと寝息を立てていた。
「ね、寝ちゃっ……てる」
ゲームのデバイスを持ったままの五百城の手からデバイスを抜き出した。
「仕方がないな。こっちもハグしておこうか」
五百城のデバイスを操作して、承認ボタンを押す。
ハグモーションがスタートする。やはりハグモーションは癒される。
しばしモーションを眺めていると、五百城のデバイスの上にポンっと表示がされた。
メッセージには『麦くんに会いたいよ』と、表示がされていた。
「……ハグですよね?」と、眠たげに五百城がつぶやいた。
「ハグ……だけども。
それはムギちゃんとで……」
”リアルのハグじゃない!”
「また間違えた。ムギ……くん。です」
甘えた様子で彼は囁いた。耳元にあたる吐息が熱い。五百城の体温は私よりもずっと高くて、まるで子供みたいだ。けれども、彼はもう20歳そこそこで、きっと恋だって経験している青年。
このまま、何かが始まってもおかしくないほどに、ずっと抱きしめられてしまい、私の心臓の音は緊張と期待とで高鳴っている。
いや何か始まったらダメ。ゲームの同居人と恋愛は禁忌である。
……だ……あれ。
いつまで経っても次の行動に移らない五百城に痺れを切らして、声を掛ける。
「あ、あの……、ムギくん?」
身体を彼へと向けた途端、ごとんっと何かが倒れる音がした。
「何事?」
慌てて振り返ると、床に倒れ込むように眠っている五百城がいる。すでにスースーと寝息を立てていた。
「ね、寝ちゃっ……てる」
ゲームのデバイスを持ったままの五百城の手からデバイスを抜き出した。
「仕方がないな。こっちもハグしておこうか」
五百城のデバイスを操作して、承認ボタンを押す。
ハグモーションがスタートする。やはりハグモーションは癒される。
しばしモーションを眺めていると、五百城のデバイスの上にポンっと表示がされた。
メッセージには『麦くんに会いたいよ』と、表示がされていた。
