隣の年下くんがダンジョンの同居人につき、リアルでも溺愛始まりました

「いいよね。ムギくんはさ、そのエイム力があれば他のゲームでもトップランカーになれるじゃない? こっちはさ、課金しても、これよ」

 甘酢を滴らせるパプリカの端っこをつまんで口の中に放り込む。咀嚼するたびに、爽やかな酸味が口いっぱいに広がっていった。

「烈火さんは、もう少し冷静に周りを見ることができればもっと強くなると思いますけどね。

 あと、課金する場所をアバターのスキンとか衣装とかじゃなくて、装備品やバフアイテムに変えるだけでもだいぶ違ってくると思います」などと、的確な指摘をしてくる。

「そ、そんなのわかってるよ! 衣装が可愛いすぎるんだもん! 
 限定家具もおしゃだし、買いたい欲を抑えるなんてできないでしょ?」
 
「あとムギへの貢ぎも」と五百城がツッコミを入れる。

「そ、それは、貢ぎたい……けど我慢する!」

 言い切ると、五百城の表情がさっと曇った。思わぬ方向から衝撃を喰らったような顔をしている。

「それは……、困りますね」

「自分で言ったくせに、衣装は無駄なんだよね」

「言いましたが……」

 困った様子を見せる五百城を見て、ほれ見たことかと、ほくそ笑んだ。 
 そうか、五百城はムギのアバターみたいな女の子が好みなのか。 
 なるほどね。だとしたら私など好みじゃないと言った理由も頷ける。

「君は、あの猫耳美少女が好みなのね」