隣の年下くんがダンジョンの同居人につき、リアルでも溺愛始まりました

 だがそれをグッと堪え、深呼吸をする。

 ここはゲームの世界。

 ゲームの世界の問題をリアルに持ち込むのは、マナー違反。
 ここはソシャゲ廃人らしく、対応しよう。

「怒りは敵にぶつけるべし!!
 とことんキルして、ペテルギウスを勝利に導いてやるんだから!!」


***

「お疲れ様でしたー」と、五百城と発泡酒でお祝いをする。

「最終キル数113で烈火さん、トップ10入ってますよ」

 五百城がデバイスを眺めつつランキングを告げる。星対抗戦での、星の貢献ランキング。やはりトップランカーはキングやクイーンたちだ。

 前半戦は拮抗した状態だったが、後半は、烈火の隣にいる誰かの存在にペテルギウスの住民たちがわちゃわちゃしてしまい、指示らしい指示もないまま気づくとタイムアップしてたわけだけれど。

「私は9位でムギちゃんは5位だけどね。レベ帯違うのにすごすぎ」

 ムギちゃんは、ほとんどのイベント参加メンバーが装備もフルバフで挑んでいるというのに、それでもランキングに食い込んでくる。
 やはり、本当にスキルが高い人は、簡単にレベ差を埋められるってことか。

 五百城へと嫉妬の混じった視線を向けてしまう。そんな私に気づいたのか、五百城は顔の半分を隠して「見過ぎです」と指摘する。

 なんだか悔しくなって、五百城が齧るパプリカの皿をこちら側に引き寄せた。すると五百城は、餌を奪われた猫のようにこちらを睨みつけてきた。