隣の年下くんがダンジョンの同居人につき、リアルでも溺愛始まりました

 などとVC勢がざわめき出したせいで、チャットまで飛び火がくる。

「なんか、騒がれてますよ?」
 
 チャットに流れる文字を追いつつも、ムギちゃんは他人行儀な態度で、ドカンドカンと再び湧いた敵襲に砲撃を喰らわせている。VCをオフにして、五百城を睨んだ。

「いや、君のせいだから!
 こっちはVCつけてるんだから、少しは口を閉じるとかしようね?」

「でもこっちの方が面倒じゃないですし。
 チャット打ちたくてもこのデバイスじゃ面倒なんで」

 ”なら家に帰ればいいじゃないか!” と言いかけて、グッと堪える。
 確かに、チャットで指示されるよりずっとお互いの動きはスムーズだ。
 本来ならキルされているだろうポイントでも、五百城の的確な声かけのおかげで免れている。
 正直アイス課金ぐらいではお釣りが来るぐらい、今日の動きはスムーズだ。

「この前のイベで出会っちゃったのかよー! 
 ったく誰だ! 烈火落としたやつ!!」

 まるで娘をどこぞの馬の骨に奪われた父親のような剣幕でキングまでもが、この話題に乗りかかってきた。 

「も…。違うんですうううう」

「ほら、キルしないと、またエリア奪われますよ」

 五百城の状況を全く把握していない言動に、コントローラーを握りしめる。悔しい。なぜ私だけがみんなのフォローをしなくてはならないのだろうか。そもそも、五百城のせいで、私のせいじゃないのに……。

 ぐぬぬっ。と怒りが湧き上がる。