隣の年下くんがダンジョンの同居人につき、リアルでも溺愛始まりました

「さすが、ムギちゃん!!!」

「ムギくんです」

ムギちゃんの戦車のおかげで、敵は完全に沈黙した。

「ちなみにCエリアも奪還しました」

 私だったらドヤ顔で報告しまくってしまうことを、五百城はまたも顔色ひとつ変えずに報告する。なんとも頼もしい同居人に惚れ惚れしているところで、ヘッドフォン越しに源さんの声が聞こえてきた。

「烈火ちゃん? そこに誰かいるのか?」

 源さんがV Cの先に聞こえてくる五百城の声に気づいたのか尋ねてきた。

「えーと、ムギちゃんと?」

「ムギちゃんのV Cマークついとらんけど、 
 というかムギちゃんチャット勢やったよな?」

 などと不思議そうな声を出す。

「そうだよー。みちょもムギの声聞いたことないし~」

 “そうだったー!”

 ムギちゃんは今までVCをつけていないし、私のV Cからムギちゃんの声が聞こえたとしたら大問題だ。
 せめてVC切っておけばよかったと気づいても後の祭りだ。

「ええっと。違くてですね!」
「しゃがんで!!」
「へ? あ、うん!」

 鋭い指示の通りにアバターをしゃがませると、背後にショットガンを構えた男が現れた。咄嗟に持っていたククリナイフで喉元を突き刺す。

「おー。ナイスー」などと、危機感ゼロの五百城が口笛を吹く。

「烈火ちゃんもしかして彼氏と一緒だったり?」

「まさかペテルギウスの男子?」

「リアルで出会って付き合っちゃった系か? 
 おめでとー烈火ちゃーん」