「あ、いや、最近散財しちゃったし……、欲しいガチャも無いし……」
言い訳をするが課金カードはまだ手の中にあった。
「それなのに買うって、クセになってません?」?
五百城にイタイところを突かれてしまい、よろける。確かに、本当に欲しいわけじゃないのに、新しいガチャが来ればついつい回してしまう。そしてコンビニに来てまず先に手に取るのは課金カード。
完全に習慣化――課金中毒になっている……。
「ああ、でも。
買わないのも、なんかモヤモヤする!」
と、頭を抱えていると五百城は視線を逸らして、近くにあった冷凍ケースの中を開け出した。
「アイス食べたいです」
「え?」
「人間て別の欲が満たされると、他の欲も満たされるらしいんで。ちなみに僕の大好きなアイスは、このレモンが入った奴です」
レモンイエローのプラスティックケースに入ったアイスを取り出してみせた。
「つまり奢れと?」
「課金するのって、僕のアバターですよね。
だから中の人に課金しても道理的には同じですよね」
ほお、なるほど!――じゃない!
「やっぱ買うのやめた! 私が課金したいのはムギちゃんであって、ムギくんじゃないんで!」といい、チュンカを手放した。
「だったらなおのこと、今夜は僕に課金してください。きっと良いプレイできますよ」 と五百城は勝ち誇った表情で告げた。
