ぼそっと喋った後、恐る恐るマグカップを抱きしめた。彼の赤く染まった唇に黒い液体が触れる。
「うわっっち!!」と大袈裟なほどにのけぞった。涙目の五百城を見て流石に笑うのも忍びない。
「ミルク、入れる? そしたら少しは冷めると思う」
立ち上がり、冷蔵庫へと向かう。
「あ、自分でやります!」
彼は私よりほんのちょっと先に冷蔵庫の扉をタッチした。ふわっと五百城の香りが、かすかに鼻先をくすぐる。すぐ背後に立つ五百城とは、頭ひとつ分の高さ違っていて、見上げたらきっとキスできそうなほど近い位置にいることに、勝手に心臓が乱れ始めた。
冷蔵庫を開けようとしていた五百城が「あ、勝手に冷蔵庫って開けちゃダメな女子ですか?」と、扉に手を置いたまま尋ねた。
「いや、全然全然、どんどん開けてください」
「じゃあ遠慮なく」
背後から声がかかり目の前の扉が開く。ドアポケットに差し込んであった牛乳パックを抜き出すと、再びリビングへと戻っていった。彼の足音が消えた後、力無く床にへたり込んだ。
心臓の音が、耳の奥までこだましている。
「ちょ……。鎮まれ……、心臓の音……」
リアルよりも大事なゲームの世界。絶対に失いたくない場所。
だからこそ守らなければならない、ゲームの同居人を好きにならないって誓い。守れるかな。
「うわっっち!!」と大袈裟なほどにのけぞった。涙目の五百城を見て流石に笑うのも忍びない。
「ミルク、入れる? そしたら少しは冷めると思う」
立ち上がり、冷蔵庫へと向かう。
「あ、自分でやります!」
彼は私よりほんのちょっと先に冷蔵庫の扉をタッチした。ふわっと五百城の香りが、かすかに鼻先をくすぐる。すぐ背後に立つ五百城とは、頭ひとつ分の高さ違っていて、見上げたらきっとキスできそうなほど近い位置にいることに、勝手に心臓が乱れ始めた。
冷蔵庫を開けようとしていた五百城が「あ、勝手に冷蔵庫って開けちゃダメな女子ですか?」と、扉に手を置いたまま尋ねた。
「いや、全然全然、どんどん開けてください」
「じゃあ遠慮なく」
背後から声がかかり目の前の扉が開く。ドアポケットに差し込んであった牛乳パックを抜き出すと、再びリビングへと戻っていった。彼の足音が消えた後、力無く床にへたり込んだ。
心臓の音が、耳の奥までこだましている。
「ちょ……。鎮まれ……、心臓の音……」
リアルよりも大事なゲームの世界。絶対に失いたくない場所。
だからこそ守らなければならない、ゲームの同居人を好きにならないって誓い。守れるかな。
