「……私の同居人ね。めちゃくちゃ可愛くて。
今日会えるのめっちゃ楽しみにしてたんだ」
自分の一方通行が痛すぎて泣けてきた。
ムギちゃんは来なかった。音信不通だし、結局、1人で盛り上がっていただけ。
リアルの私は、所詮LV.1でキルされる弱小スライム。
私のリアルなんて、こんなものだ。
「……コスは正直、痛いですけど。
気持ちは嬉しい。……と思います」
最後の最後に五百城はココア分以上の言葉を発した。五百城は、マスクを外してポケットにしまい、ようやくココアに唇をつけた。
黒いマスクを外した肌は陶器のようにつるんとしていて日焼けをしたことのない肌のように真っ白だった。ぽってりとした赤い唇はまるで女の子のようにふっくらとしている。
ものすごい綺麗な顔……。アバターを制作するなら、この顔を元にしたいほどに美しい顔である。
五百城の顔の造形をまじまじと眺めていると、
「椿と白菊の髪飾りはどこですか?」
五百城は伏せていた瞳を持ち上げ、マグカップから顔を上げた。ついつい見惚れていた視線を天井へと向けて、そしてすぐにカバンへと視線を落とした。
そういえば、キャラバレを避けて会場に着く前に外したんだった。
そのまま付けずにオフ会に参加したのでカバンの中に入ったままだ。鞄の中を漁って、赤と白の髪飾りを五百城に向かって差し出した。それを受け取った五百城が、私の髪に触れた。白菊のついたピンで耳の上の髪を挟み込んで留める。
「ちなみに虞美麗のこの衣装は4周年記念のやつで、デフォルトのアサシンの衣装とは異なります」
