隣の年下くんがダンジョンの同居人につき、リアルでも溺愛始まりました




 自宅マンションのオートロックの玄関先。その階段に腰掛けるのは五百城だ。
 いつものように黒いパーカーを着て、ゲーム音をさせている。漏れ出るのはプラネットの中の音楽だ。きっと自宅スペースで、クラフト活動でもしているのだろう。
 時折、プラネットの中のプレイヤーの声が聞こえるのでスピーカーモードにして、プラネットの住人の声を聞いているのがわかる。

「ただいま」と言い、五百城の隣に腰掛ける。
 五百城はゲームからチラリと視線を持ち上げたが、手元は動いたままだった。

「せっかく準備してくれたのに、無駄足になって、ごめんね」

 本来なら、食事会後。五百城が待つレストランの駐車場でエンストした車が立ち往生するという大仕掛けが待っていたわけだが、そこまで辿り着くことなく終わった。

「大丈夫です。源さんからすぐにクエスト失敗の連絡もらったので、おかげで車のエンストさせずに済みました」

「あとね……フラれました!」と、努めて明るく言った。

 五百城の指先がほんの一瞬だけ、立ち止まる。

「いやー。さすがは勇者だよね。
一人でなんでもこなせるのに、私ごときが助けてしんぜようなんて畏れ多いことだったなあって、改めて思ったよね」

「……そうですか」

「だから、もう偽彼はいません。ムギくん。君だけだよ」