「なんだか、本当に存在していたんだ。って、そう思って。キングもクイーンもみんな」 

 そう告げると、彼らは顔を見合わせて、一斉に笑い声を上げた。 

「その気持ちわかるわー。俺もリアル烈火がいるの、かなり驚いてるしさ」
 
 などとキングが同調してくれた。そう今までヘッドフォン越しに彼らの声だけを聴いていた。その先に人がいるのはわかっていつつも、どこか偽物感を感じていた。全員、運営が用意した”ゲームの中の人”だと想像したこともある。
 けれどもここにいるのは紛れもなくリアルな人たちだ。
 プラネットに住む、ゲームの中で毎日のように顔を合わせていた人たち。

 ……キングって、こんな顔して笑うんだ。
 なんていう発見は、なんだか新鮮だ。

 立て続けにブースに座る女性たちの自己紹介を受ける。
 キングのブースだからか、初期の時からいるメンバーが多く、パーティーで絡んだことのある人たちばかりだ。
 だからか、まるで初めて会った気がしない。

「烈火の衣装ってさ、それ、FIORIでしょ。ムギちゃん推しゲーだったね。
 俺、垢あるよ。そっちでもフレになる?」

「あっ。私は、そのゲームやってなくて……」

「こら、他のゲームの話しない! 
 せっかくだしPVPエリア行こうよ。ここにいるメンバーで対戦とかしてみたいし!」

ゲームの中で長い間一緒にいたせいか気づくと昔からの友達のような空気になっている。