私に気づいた鵲は、表情を変えるなりサッとブースの奥へと引っ込んだ。
「知り合いですか?」と峯岸に尋ねられた。
知り合いというほどのものではと、言いかけたが、「せっかくなので覗いてみましょう」と、峯岸は鵲がいたブースへと足が向いている。気を利かせてくれているのだろうが、今は逆効果である。
きっと鵲はこんな場所で私には会いたくないだろうし、五百城とのこともある。
「っしゃーあせー」とやる気のない掛け声で鵲が我々を出迎えてくれた。
「こちらは、東京帝国大学とAGPA prayers が共同開発したゲームのブースとなります。
よろしければパンフレットをどうぞお」と、覇気のない受付係である鵲が峯岸へと小冊子を差し出した。
鵲は、五百城と同じゼミだったはず。
そういえば、五百城は電子工学系の学部だった。
ゼミでそんな活動もしているんだと、ブースの中を眺める。
ゲームは3等身のアバターたちが暮らすほのぼの系のゲームで、街を自由に作れる仕様になっている。
プレイヤーが友達を介してギフト機能で街で製作したアイテムを贈ることも販売をして街を発展させることもできる。そういった交易の仕様は、MPDOと似ている。
「今後開発を続け、オープンサーバーでのプレイを可能としています。日本でのプレオープンは再来年の夏を予定しておりまして……」と、峯岸に説明をするのは鵲の代わりに入った別の男性スタッフである。
そして鵲は一人になった私の腕を掴んで鋭い眼光で睨んできた。
