隣の年下くんがダンジョンの同居人につき、リアルでも溺愛始まりました

「そ、そうでしたか」と、峯岸はずいっと持ち上げた腕を下げた。

しゅんと肩を落とした峯岸へと、秘書の男性が、白い封筒を差し出した。

「それから、こちら、会長から預かりました。本日この後、お誘いする予定でしたが、急用が入りました関係で、ご一緒できずに申し訳ございません。良ければお二人ででも、ご参加くださいとのことです」

秘書と共に会長が店を出て行った。
クエストは失敗。
橋本会長の好感度は上昇せず。

「はあ」と、つい人目も憚らず、大きなため息を吐いてしまった。

「どうしましょうか、この後」

と、峯岸が食後のコーヒーを眺めながら言った。
タゲが取れてしまった。クエストを終えた今、今日はここでお開きである。
すると、
「先程会長からもらったチケットですが、よければ一緒に行きませんか」と、峯岸が白い封筒をひらひらとさせた。


***


「ようこそ、東京ゲームエキスポへ」

メタルカラーの人型ロボットに案内されて足を踏み入れたのは、有明のイベントブースである。
東京ゲームエキスポは、世界中の最新ゲームが集まるイベントで、東京、NY 、ロサンゼルス、香港、パリなどの世界各地で開催されているものだ。
さすがは企業や投資家向けのイベントだけあり、リアルなVR画像を大画面に映し出たダイナミックなゲーム画面や、次世代の未来を担うA Iを使ったもの、身体中につけたポインターを滑らかにAR画面に投影するアバター技術など、華やかで最先端を謳ったゲームが道を賑やかしている。

近未来的なブースのせいか、峯岸も私も異世界に迷い込んだような表情を浮かべて世界を見上げた。

「……凄いですね。ゲームの企業に関しては無知なので、これは、勉強しろということでしょうか」

と、峯岸は、橋本会長の意図をよむ。

確かに森田ホールディングスは、さまざまな分野を手掛けている。次の事業でゲームに力を注ぎたいから峯岸を連れてきたかった。というのはあながち間違いではない気がする。