隣の年下くんがダンジョンの同居人につき、リアルでも溺愛始まりました

「悩んでるんですか」

悩んでいる理由を五百城に理解してくれというのは烏滸がましいものである。
きっと五百城にとっては大人の事情なんて、どうでもいいはず。
でもね。
社会ってそういうめんどくさいことばっかりなことに囚われてるんだよ。
ほんと、困ったもんだ。

「だ、大丈夫。な、なんとかする……」

私に言えるのは、それが一杯一杯である。これも身から出た錆。
勇者峯岸との関係を綺麗さっぱり終わらせるのは、ちょっと大きめのクエストだがこれを突破しなければ新しいステージには進めない。
果たして弱小スライムにクリアできるだろうか。



***

「へえ、烈火のパパって、東都山銀行の常務執行役員なんだ。
しかもあの森田ホールディングスの橋本会長と知り合いとはねえ」

 身の上を打ち明けるなりオクラ大臣に感心されたが、すごいのは親であって私ではない。
 所詮、私は道端に転がる弱小スライムである。


 朝から、オクラ大臣と源さんそして五百城と共に駅前の古びたカフェに集まり、ミッションに向けた作戦会議を開いている。
 議題は、「橋本会長に勇者峯岸を溺愛させる作戦!」……てところだろうか。

 今後、父の後ろ盾がなくとも困らないように、父と同じぐらい橋本会長にも峯岸を溺愛していただかなくては。
 そのためにも第三者の協力が必要だった。

「要は、橋本会長がピンチになっているところを、烈火の彼氏に救わせればいいわけね」

 作戦を説明するとオクラ大臣は早々に、理解を示してくれた。
 その隣でアヒルのように唇を尖らせているのは、五百城である。

「偽彼です。僕が烈火さんの彼氏なので」