隣の年下くんがダンジョンの同居人につき、リアルでも溺愛始まりました

「ええ、烈火さんからもらったセイレーンのマントもそうですね。あれはイベント限定品で、今の通常ガチャでは100万単位でガチャを回しても出ないSSRですので、いつになることやら」

「なんて鬼畜なことするんだか」

「でも僕の装備の耐久値を減らしたのは彼女です。
それぐらいのペナルティがあってもいいと思うんです。だってゲームですから。それに……」

と五百城が私の前にひざまづいた。素足の指先に触れる。

「こんなに取り乱すほどに同居人を追い詰めた原因は、鵲さん自身にもあるから」

ヒョイっと五百城が私を抱えると、私の部屋の扉を押し開けた。

「何?」と尋ねると、五百城は「足、汚れちゃいましたね。洗ってあげますよ」と、廊下を進みバスルームの扉を開く。

「じ、自分で出来るから」と五百城の胸を押したが、彼は私を下すつもりはないらしい。

シャワーの取手を掴み、シャワーヘッドから湯を出し始める。

「ちょ、濡れちゃうってば、カバンの中、ゲームが入ってるんでしょ?」

 五百城に背負われたリュックには大事なものが入っているはずだ。
 離れようと胸を強く押した。でも彼はびくともしない。

 むしろシャワーから出る水の中に入って行こうとする。頬に雫が当たる。髪から滴り落ちる水のせいで目を開けることもままならない。「ムギくん!」とほぼ叫んで降ろせとせがんだ。しかし彼は私を降ろしてくれない。

「冷たいですか?」

と彼も髪から水を滴らせながら云う。シャワーの飛沫を避けるように五百城の胸に顔を埋めつつ頷いた。

「それが僕らの世界です。ゲームの中とは違う。リアルな僕らの世界は、冷たかったり、痛かったりするんです。
だから、あなたの言葉に傷つくことだってあるんです」

五百城の言葉にごくりと唾を飲み込んだ。私はまた彼を傷つけてしまった。