思えば誰かと父のことを話す機会ってなかった気がする。
きっと峯岸じゃなければ、こんなふうに父の話をすることなどなかっただろう。やはり勇者、人の懐に入り込むのが巧みである。
気づいたら好きにならないように気をつけなくては。
峯岸と別れて、マンションのオートロックのゲートを抜けると、エレベーターの前に、五百城が立っていた。
いつからいたのだろう?
「ムギくん?」と声をかけると、長い前髪の隙間からちらりと視線がこちらへと向く。ゲームのログアウトをするメロディと音声が流れる。聞き慣れない言葉はどこの言語だろう。私とは違い五百城は色んなゲームをプレイしているので、どのゲームかはわからない。
「あの人とより戻したんですか?」と五百城はリュックの中へとデバイスを戻しながら言った。「まあそういう感じになるのかな」と告げると、「あんな男と付き合う意味がわからないです」とあからさまな拒否反応を示した。
すっと五百城の指先が伸びて私の下唇を摘んだ。何事かとジタバタすると、「キス……したんですか?」と、聞こえるか聞こえないかの声が戻ってくる。
きっと峯岸じゃなければ、こんなふうに父の話をすることなどなかっただろう。やはり勇者、人の懐に入り込むのが巧みである。
気づいたら好きにならないように気をつけなくては。
峯岸と別れて、マンションのオートロックのゲートを抜けると、エレベーターの前に、五百城が立っていた。
いつからいたのだろう?
「ムギくん?」と声をかけると、長い前髪の隙間からちらりと視線がこちらへと向く。ゲームのログアウトをするメロディと音声が流れる。聞き慣れない言葉はどこの言語だろう。私とは違い五百城は色んなゲームをプレイしているので、どのゲームかはわからない。
「あの人とより戻したんですか?」と五百城はリュックの中へとデバイスを戻しながら言った。「まあそういう感じになるのかな」と告げると、「あんな男と付き合う意味がわからないです」とあからさまな拒否反応を示した。
すっと五百城の指先が伸びて私の下唇を摘んだ。何事かとジタバタすると、「キス……したんですか?」と、聞こえるか聞こえないかの声が戻ってくる。
