キング:「コスで来た人には、チュンカ1万渡すからね」
キングの発言に途端にチャット欄がざわついた。
「な、なんですと!!」
「さすがキング氏!」
「やはり、ペテルギウスのキングすげえ!!」
と、キングをもてはやし出した。
私も廃人ゲーマーが大好きなフレーズに言質取ったり! とばかりに画面をスクショする。
「魔法のカード(課金カード)を配る?
1万円もいただけるなんて……やはり、キング只者じゃない……」
そういうわけでチュンカをいただくべくコス衣装を纏い、六本木の街にやってきたのだった。
普段は普通のO Lに擬態化して歩く街並みを、コス衣装をコートの下に隠して進む。三つ編みにした髪を揺らし、ソールの高い真っ赤なハイヒールで闊歩する。
やっと辿り着いた会場は地下にあるクラブで、店名が描かれた壁には7色に輝く滝が流れていた。点滅するライトには、ペテルギウスの文字が浮かんでいる。
ムギちゃんに「今、会場の前にいるよ。ムギちゃんは、どこにいるの?」
と連絡したものの返事はない。できれば一緒に行動したかったのだが……。
大音量の音楽が扉の奥から響いている。なんとなく入りづらい空気に押されて、降りたばかりの螺旋階段へと視線を向けた。すると、黒いパーカーのフードを被った全身黒づくめの青年が、軽快なステップで階段を降りてきた。
スマホを手にして場所を確認しているところから見て、ペテルギウスの住民だろう。開けるのを戸惑って立ち止まっていると、青年も開けてもらうのを待っているのか、扉の前で立ち尽くす。互いに足元を見つめたまま、同じタイミングで心が折れた音がした。
誰にともなく「ははっ」と笑い、階段へと踵を返そうとする。
すると突然、静寂を突き破るように音楽が地下に溢れ出た。
「あれえ? お二人さーん。いらっしゃーい!」
爆音の音楽と共に明るい女性の声が背後からかかる。
「オフ会に来たん? 入って入ってー!」
腕を掴まれて扉の向こう側に押し込まれた。
ライブ会場のように広い店内の手前にはバーカウンターがある。
何人かがカウンターのスツールに腰掛けて、何やら熱く語り合っていた。店の正面にステージのような場所があり、D Jブースで皿を回す人を囲むように人が集まっている。
キングの発言に途端にチャット欄がざわついた。
「な、なんですと!!」
「さすがキング氏!」
「やはり、ペテルギウスのキングすげえ!!」
と、キングをもてはやし出した。
私も廃人ゲーマーが大好きなフレーズに言質取ったり! とばかりに画面をスクショする。
「魔法のカード(課金カード)を配る?
1万円もいただけるなんて……やはり、キング只者じゃない……」
そういうわけでチュンカをいただくべくコス衣装を纏い、六本木の街にやってきたのだった。
普段は普通のO Lに擬態化して歩く街並みを、コス衣装をコートの下に隠して進む。三つ編みにした髪を揺らし、ソールの高い真っ赤なハイヒールで闊歩する。
やっと辿り着いた会場は地下にあるクラブで、店名が描かれた壁には7色に輝く滝が流れていた。点滅するライトには、ペテルギウスの文字が浮かんでいる。
ムギちゃんに「今、会場の前にいるよ。ムギちゃんは、どこにいるの?」
と連絡したものの返事はない。できれば一緒に行動したかったのだが……。
大音量の音楽が扉の奥から響いている。なんとなく入りづらい空気に押されて、降りたばかりの螺旋階段へと視線を向けた。すると、黒いパーカーのフードを被った全身黒づくめの青年が、軽快なステップで階段を降りてきた。
スマホを手にして場所を確認しているところから見て、ペテルギウスの住民だろう。開けるのを戸惑って立ち止まっていると、青年も開けてもらうのを待っているのか、扉の前で立ち尽くす。互いに足元を見つめたまま、同じタイミングで心が折れた音がした。
誰にともなく「ははっ」と笑い、階段へと踵を返そうとする。
すると突然、静寂を突き破るように音楽が地下に溢れ出た。
「あれえ? お二人さーん。いらっしゃーい!」
爆音の音楽と共に明るい女性の声が背後からかかる。
「オフ会に来たん? 入って入ってー!」
腕を掴まれて扉の向こう側に押し込まれた。
ライブ会場のように広い店内の手前にはバーカウンターがある。
何人かがカウンターのスツールに腰掛けて、何やら熱く語り合っていた。店の正面にステージのような場所があり、D Jブースで皿を回す人を囲むように人が集まっている。
